【乗船記】誕生日にオーシャン東九フェリー「フェリーどうご」に乗る|前編

乗船まで

毎年恒例となった誕生日乗船

 スタート地点は「自分の誕生日の日付が入ったカードキーが欲しい」というものだった。

数年前にまとめたカードキー記事にもある通り、以前は乗船日や航路が記載された磁気カードというものが存在していた(過去形で話す事になっているのが悲しい…)
自分の誕生日は年度末のまあまあ船が混雑する時期ではあるのだが、これを手に入れる事が毎年の楽しみになっていた。

ただ、ここ最近では長距離フェリーの乗船は印刷された紙やスマホでのQRコード形式がメジャーになり始め、磁気カードというものは自分が確認できる限りではほぼなくなってしまった。

 誕生日にカードキーを集めるという恒例行事は残念ながら終わってしまったが、自分への誕生日プレゼントとして旅に出る事自体が楽しいので今年も船に乗って遠くへ行く事にした。今回で4度目の誕生日乗船になる。

ひとりでのんびりしたかったのでオーシャン東九フェリー

 カード集めという縛りがなくなった今、逆に選択肢が広がる。

さて今年は何に乗ろうかと考えたとき、比較的すぐにオーシャン東九フェリーが思い浮かんだ。
東京~新門司の乗り通しをまだやった事がなかったので純粋にやってみたかった…という部分もあるし、東京港発であれば東京駅で誕生日ケーキを買う事もできる。そして何より35時間も乗っていられる。乗船時間は長ければ長いほど良い。

写真は過去撮影したフェリーしまんと

丁度気持ちが落ち込んでいる時期だったので、今回は出来るだけ放っておいてもらえて、出来るだけ騒がしくなさそうな船…という事で結局そのままオーシャン東九フェリーに決まった。

いざ乗船

天気がべらぼうに悪い乗船日当日

 乗船の予定がある時はいつも「Windy」というアプリで風や波の予想を予めチェックするようにしている。
今回の誕生日はかなり前から荒れる予報が出ていた。
たまに予報が前後にずれ込んだりもするので静観していたのだが、今回は特にそんな事もなく、予報そのままの悪天候で誕生日当日を迎えた。

「さすがに欠航まではしないと思うが…」と恐る恐るオーシャン東九フェリーの公式サイトを見に行くと「△ 遅延あり」の文字。よかった!とりあえず就航はするようだ。

揺れるであろう事は覚悟しつつ、東京港の有明フェリーターミナルへ向かう。
今回はケーキを購入してから東京駅から出ている直通バスを利用した。

向かっている最中、どんどん天気が悪くなっていくのを肌で感じた。

空が泣いてる……。

東京駅から5~6人程度乗っていたが、みんな国際展示場駅で降りていった。
終点のターミナル行きのバスに私一人を乗せて向かう。いつものオーシャン東九フェリーだ。

予報では18~19時頃がピークで雨風が強くなるらしい。
ターミナルに到着した17時半ごろの天気はというと、

(動画だとそうでもなさそうに見えるが)
めちゃめちゃ風が強い。まあまあ雨も強い。

もう台風前のそれである。
定刻出港予定との事ではあったが、このあと更にピークがやってくる予報だ。
本当に19時に出港できるのかとちょっと不安になる。

出港したら比較的すぐ揺れるような気がしたので、お守りのアネロンは早めに服用した。

信じてるぜ…アネロン……

 乗船開始を待っている間、家族でやってきたのであろうグループが大きな船にはしゃいでいた。
母親らしき女性に乗船券の買い方を尋ねられたので券売機の使い方を伝えたら子どもたちも一緒にとても丁寧に御礼を言っていただけた。
いえいえそんな…と答えながら心の中で「おそらく今日は結構揺れるぞ」「一緒にがんばろうな」と呟いた。
4錠くらいまでなら分けられるぞ、アネロン。

乗船開始

乗船開始は普段より15分ほど遅くスタートした。
さらば、地上。

このターミナルの広さ、たまらない。

ターミナルからフェリーに繋がる通路から聞こえる風の音で丁度悪天候のピークがやってきているのがわかる。

お久しぶりのフェリーどうご。
オーシャン東九フェリーに乗ると何だかいつもホッとする。

客室紹介

一等洋室

 新門司まで乗り通し、という事で今回は一等洋室の2名個室を選んだ。

一時期安さを重視して相部屋を選んだりしていたが、やはり自分は個室で過ごすのが性に合っている。
好きなように荷物を広げられたり、他人の気配を気にかけずに過ごせるというのは自分にとっては最優先事項だったらしい。これも色々乗ったからこそわかる自分の好みというやつだ。
いきなり大きいくしゃみをしたっていいし、いきなり歌を口ずさんだっていいし、連れてきたぬいぐるみを飾ってもいいのだ。35時間、ここは私の秘密基地だ。

冷蔵庫もあるぞ

オーシャン東九フェリーの個室には有難いことに冷蔵庫が存在する。

誕生日ケーキと、船に乗っているとなぜか無性に食べたくなる生野菜サラダを入れておける。
今回オーシャン東九を選んだ理由のひとつでもある。

冷蔵庫単体の写真を撮り忘れたので、代わりに冷蔵庫に入れたケーキの写真でお茶を濁す
洗面台やトイレはないぞ

 最近のフェリー個室は洗面台やトイレどころかバスタブやシャワーが付いているようなものも珍しくはないものの、オーシャン東九フェリーはシンプルフェリーと銘打った船。
残念ながら個室に洗面台やトイレは付いていない。部屋の外に出る必要があるので、引きこもり続ける事はできないのだ。

出港を待ちながらの誕生日会

早めの寝床セッティング

出港後は早々に揺れる事が容易に想像できたため、寝床は早めに作っておく。これですぐ横になれる。
……などと思ったが、この乗船後すぐの寝床づくりはいつもやっている気がする。

たまに「乗船時に絶対やる事って何かありますか?」とインタビューで聞かれて毎度しどろもどろになるのだが、出港前の寝床づくり。これだ。今度からこれを答えよう。

高い天井を楽しみたかったので、今回は下段に寝床をセットした。
枕元のすぐ近くにライトとコンセントがあるので快適だ。

出港時間ではあるが

19時。
出港の時間ではある…が、一向に離岸するような空気感が流れてこない。
「おや」と思っていたところで放送が流れた。

展望浴室・シャワー室は危険防止のため、午後11時ごろ閉鎖させていただきます。
再開時刻は未定です。

なんてこったい。
わたしの中で船の揺れる揺れないのひとつの目安が風呂が閉鎖されるか否かなので、ますます「これは揺れるなぁ」が強まる。

このあと出港についても船長直々の放送が流れる。

波が高いので低気圧の通過を待ってから出港します。
22時30分くらいを予定してます。
明日の徳島港入港時刻は3時間40分遅れ17時を予定していますが、
海面の状況によっては更に遅れる予定もございます。

なんてこったい。ただ、これは正直ホッした。
着岸中の今現在ですらけたたましい風で船が揺れている。安全に出港できそうな状況ではなかったのだ。

ひとまず風呂を済ませたり、少し船内を歩き回ることにしよう。
ターミナル待機ではなく、船に乗せてもらった状態で出港待機になったのは非常にありがたい。

のんびり過ごす

なんだこれは(即購入)

 閉鎖前に風呂を済ませるべく、おなじみのタオルセットを買いに行く。
歯ブラシセット・フェイスタオル・シャンプーセットが入って400円(2026年3月現在)だ。

ん……?

な、なんだこれは。初めて見たぞ。
こんな…今日みたいな日のために買ってくれといわんばかりの開運(海運)守、買うに決まっている。

飾った。
ころんとしていて小さくロゴが入っているのも可愛い。

御船印も買って誕生日会

 恒例行事、御船印購入も。

「(日付なしで)このままのお渡しで良いですか?」と訊かれたのだが、誕生日乗船だったのでつい「書いていただけたら嬉しいです…」と我儘を言ってしまった。ご対応いただきありがとうございます。
わたしはこれを頑なにバースデーカードと呼んでいる。

出港前ではあるが一人誕生日会のはじまりだ。
せっかくの東京港発なので、東京駅のカービィカフェPETITでケーキを購入した。これがやりたかったのだ。

崩れずに船内に持ってくることが出来てうれしい。おいしい。たのしい。
ケーキに舌鼓し、のんびり過ごしている間にいよいよ出港しそうな空気感が漂ってきた。

22:30東京港出港

出港、からのゲートブリッジ

 残念ながら悪天候のためデッキには出られず。
幸い陸側の右舷部屋を予約していたので、客室窓から離岸を眺める事が出来た。

この瞬間はやはりわくわくする。
あっという間にフェリーどうごは陸から離れて徳島へ向けて出港した。

出港してすぐくぐる事になる東京ゲートブリッジ。
上り便はこの橋をくぐるのが「旅の終わり」を示しているようで自分にとっては悲しみの象徴みたいなものなのだが、今回は違う。旅の始まりそのものだ。うれしい。

点灯する光、点滅する光。
白かったり緑だったり赤かったり黄色かったり。綺麗だなぁと眺める。
羽田空港を行き来しているのであろう飛行機が割と頻繁に飛んでいるのだが、揺れは大丈夫なのだろうか…とそわそわ見てしまう。

揺れる船、はしゃぐ私

酔い止めの眠気も出てきたところで少し仮眠を取り始めたものの、0時過ぎになるとドカン…ミシミシミシ…と重めの音が頻繁に聞こえ始める。大きな音に何度か起こされた。

 船に乗る事自体が久しぶりだったので、最初はちょっとおっかなびっくりしていたものの「ああ、船の揺れってこんな感じだったよね」と徐々に思い出してきた頃には無重力状態も大きな音も楽しめるようになった。
少し激しめのゆりかごに揺られながらうつらうつらと眠りにつく。

船内探検

……などと書いておきながら、やはり揺れは楽しみたいので結局眠れずに起きてしまう。
部屋の外に出て廊下を歩いてみたら久しぶりの無重力状態。やはりどきどきして楽しい。

そのまま恒例の真夜中船内探検としゃれこんだ。
乗船記念パネルの日付が自身の誕生日であるうちに撮影を楽しむ。

シンプルフェリーなのでそれほど広い範囲を歩き回れるわけではないが、人のいない大きな乗り物の中を練り歩くのはやはり楽しいので色々撮って回る。

自販機まわり
電子レンジの並びも名物だと思う
調味料も揃っている
オーシャンプラザ
フォワードサロン
人は少ないが、時折先客と二人きりとかになるのでちょっと気まずいやつ
リラクゼーションスペース
風呂上がりにここで紙パックのジュース飲むのが良いんですよね
通路とかゲームコーナーとか

「今日は低気圧くんが元気だよ!」の貼り紙が至る所にいた。

因みにこの日は上り便も遅れていて5時間程度の遅延見込みとお知らせが出ていた。
低気圧、おそろしい。

一旦探検を楽しんだあと、今度こそ眠りについた。

翌朝

翌朝もちょっと揺れる

綺麗な空のグラデーションと景気の良い波で目が覚める。

遠くに富士山が見えてちょっとだけテンションが上がった。
昨夜ほどではないものの、まだ結構揺れる。たのしい。

せっかく起きたので朝ごはんを食べに行く。

おにぎりと豚汁を選んだ。
おにぎりはちゃんと米が米だった。おいしかった。
豚汁は私ががめつくお湯を入れすぎたので薄味になってしまったが、これもめちゃめちゃおいしい。沁みる。


朝食後、部屋で横になって天井と眺めるという無為な時間を過ごした。
船で過ごすこの無為な時間というのがどうしようもなく気持ちが良くて大好きだ。

風はおさまっているものの、波はまだ高い状態が続く。
静かで揺れのある状態の船というのはとても睡眠に適していると思う。
ググー…っと身体全体が沈んだり浮いたりする感覚が非常に心地良かった。

QUOカード配布イベント発生

 まどろみを楽しんでいると、突然船内放送がはじまった。
遅延のお詫びに案内所でクオカードを配布するから取りに来てね、という内容だった。

「すぐに取りに行くのはちょっと卑しさがあるだろうか…」とモタモタしていたら「まだの人は取りに来てね」の放送がかかった。これは早く行くのが正解だったようだ。

そんな訳で名前と部屋の番号を伝えて受け取ってきた。
実質お小遣い付きバースデーカード。

そのむかし、オーシャン東九フェリーでは「船揺れお見舞いカード」制度なるものが存在していた。
案内所に傾斜機が置かれていて、傾斜10度以上になるとクオカードがもらえる、というものだ。
恐らくその制度はなくなったと思われるが、こうしてクオカードを配ったりするイベント(?)は残っているのだなぁと何だかしみじみしてしまった。



出港前から色々あって長くなってしまったので、一旦記事をここで締めようと思う。
後編に続きます。

(予約投稿なのでそのうち反映されます)

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